たまり の心の日記から 第12話 離婚への序章・『霞々』vs.『夫』

【当時の状況】

霞々と大切なお約束をしました。
大きなことをする時には必ず一言霞々に伝えてから。

というのも、夫と会っていよいよ今後の離婚手続きについての意向を話す場を持ったところ、私はズタズタになってしまったのでした。
それがそんなに大変なことだとは思っていなかったのですが、良くなりかけていた症状もメチャクチャになり、起きられずに沈み込んでしまいました。

そして、夫と1対1で会って話すことが私のダメージを大きくすると霞々は分かっていたらしいのです。

夫のことはもう好きじゃないし、私のことを丸ごと受け止めてくれる人じゃない。
またやり直そうとはもう考えられませんでした。

私はこれまでずっと、彼に不満があっても離婚したいとは思いませんでした。
でも、彼は別れたいと言い出て行きました。
そんな人とまた愛し合おうとは思わない。
霞々は私が幸せになることを本当に考えてくれているけど、彼はどうでもいいらしいとしか思えませんでした。

ずっと静かに考え込んでいた霞々が、全ての予定をキャンセルして私と彼の話し合いに参加してくれる事になりました。

土曜日決行。
1対1で会う時よりはずいぶん気が楽、だって、霞々に全て任せれば良い方向に動いて行くだろうから。
あとは、彼が誠意を見せてくれることを願うだけでした。
遅刻、あくびをせずに話を聞いてくれるように。

ズタズタになった私の背中を霞々がマッサージしてくれ、ずいぶん楽になりました。
薬を飲んでも効かなかった体がマッサージの言うことをきいたのです。
本当に不思議でした。

そして当日、待ち合わせの喫茶店で彼と話す霞々がいました。
私は彼を霞々に紹介した後、対角線の奥の隅のテーブルでひとりでずっと待機していました。

彼は霞々に「妻のことを一番考えているのは自分だ」とたまげたことを言ったそうです。
自分のしでかしたことも忘れて、いつも連絡がつかなくて、私が正式な離婚の話を進めようとすれば「気持ちの整理がつかない」と言って逃げる、それのどこが「一番」なんだろう。

今後の件で私が『1』言えば彼は『4』機関銃のように返して来るパターンが続き、私はそれに絶えられずダメージを受けていました。

結局霞々は私を招こうともせず、終始彼と話していました。
彼が去った後、霞々が私のテーブルに来て
「論理的にではなく、勝手に組み合わせて攻撃的に攻めてくるしゃべりかたね。あれを今の たまり ちゃんにやられたら持たないわよね」
と感想を言いました。

それでこの前の土曜日、あんなにつらくなったのか…と今更ながら気づきました。
自分が亭主に選んだ人がそんな人だったなんて…今となってもまだ悲しい。

離婚経験者が霞々クライアントファミリーの中にも何人かいるので、弁護士も誰が良いか聞いてみましょうねと言ってくれました。
クライアントファミリーってすごいなと思いました。
どこまでも助け合っちゃうんだから。
私が直接知らない人に私を助けてもらうんだ。

いつか私がその人の助けになれるだろうか。今度来る知らない人の助けになるんだろうか。
なれればいいなと心の底から思いました。

私が考えるのは新しい生活のことだけ、明るい未来だけ。
今まで苦しんで不自由してきた分、これからは元気で快活な自分でいよう。
新生 たまり がやっと誕生しそうな気配。

母も霞々に言われた通りに動いてくれる。
海外赴任の父の代わりに彼の実家の九州に電話してくれるらしいのです。
そういえば母は父が側にいなくてどんなに心細かったか。
離婚のこと、病気のこと、母は疲れているに違いないのにずっと私と歩幅を合わせてこの2年間歩いてくれました。

私が元気になって幸せになる事を誰よりも喜んでくれる母を、霞々は気遣ってくれているのでしょう。
親子で助けてくれてありがとう、霞々。

抗うつ剤を飲まなくなって約一週間。
微量の精神安定剤だけで過ごし、しんどくなった時はオイルを塗ってマッサージする。

精油にはすごい効能があることを本を読んで改めて知りました。
フランスでは国家試験にパスした者だけがエッセンシャルオイルを扱えるらしいのです。
薬と同じ、漢方と同じニュアンスでうつ病に効く精油がたくさん載っていました。
精油やキャリアオイルってお薬だったんだね。

西洋医学しか信じていなかった自分が過去にいましたが、今は違う。
理屈が分からなくても自然治癒力を信じている。
精油の力と霞々の不思議な力。
もうすぐ精神安定剤ともおさらばできそう、そんな日が近くにあるような気がしました。

「これからはリハビリの時期ね」
と霞々に言われました。
リハビリというのは、会社にいく人と同じ時間に起きて同じくらい何かをガーッとやるということではなく、ゆっくり充実して過ごすことらしいのです。

みんなと一緒に集団生活をすれば自然に目が覚めて会社行って働くから大丈夫よ、って。
うん、そんな気がする、リハビリって疲れるためにするんじゃないもんね。
それも霞々の所に通っていればきっと良いリハビリが出来るだろうな。
そう確信していました。

復職予定日まであと2ヶ月半。
もう少しだ。豊かな気持ちで過ごそう。

【当時を振り返って】

霞々が夫と話す場を設けようと提案してくれた時、一筋の光を見たようでした。

離婚への大きな一歩がこれで踏めるのではと。
双方の親兄弟が代わる代わる入っても埒が明かなかった問題に対して、霞々なら、第三者でありながらもきっと一番良い方向に持って行ってくれるだろうと確信していました。

また、その日は夫が結果を持って来てくれる日でもあったのです。
先週末に二人きりで会った時に、離婚のことを夫の家族に伝え、その反応を知らせてくれる約束でした。

当日、私は離れた席でうまくいきますようにとずっと祈っていました。

ところが、霞々が夫の両親の反応を聞くと
「気持ちの整理が出来ていないから両親にもまだ話せない。でも、誰かに間に入ってもらうことは反対、自分が一番妻のことを大事に考えているのだから…」
と答えたそうです。

それに対し霞々は、
「 たまり ちゃんとやり直す気がないのなら、考えることではなく、現実論でひとつずつ対処していきましょう」
というような趣旨を伝えてくれたそうです。

霞々の感想や今後の方針を聞いた私は
「これで私はあと2ヶ月半の休職期間終了までに成し遂げたい自分の目標を達成できるかもしれない」
と思えるようになっていました。

夫の発言は予想していたものではあっても、やはりただ驚きあきれ果ててしまう内容でしたが、霞々に促されて楽しい私の未来を考えるようにしていました。
一筋の光は、パァーッと降り注ぐ光へと変わり、離婚への勢いを増した状態でした。

【たまり の母の想い】

初めての霞々との電話コンサルティングで、娘と婿が二人きりで会った後に娘に起こり易い状態を教えて頂き、なるべくやめさせて欲しいのですと言われていました。
霞々の心配りに耳を傾けて注意すべきことを守るようにすれば、娘のダメージももっと少なくて済んだのだと悔やんでいました。

確かに婿との話し合い後の娘は、疲れ果て、手足に力が入らない、と病気の揺り戻しを疑う体調でした。
仮にも夫婦、まさか婿がそれほどまでに娘を消耗させる存在だったとは、ということに加え、霞々がそのような先を読むアドバイスもくださることに驚きました。

そして、土曜日に婿に会ってくださると知り、正直なところ、安心いたしました。
ただ、私自身、何をどうして良いのか全くわからない状態でありながらも、まだこの時点では『霞々に対する絶対的な信頼感』というより、娘を案じる母として少し距離を持っていたと記憶しております。

ですから、
「本当にお金をお支払いするだけのことを最後までやってもらえるのだろうか、やって頂きたい」
と不安や心配が渦巻いていました。

当日の霞々は、婿の言葉や進め方に取り合っていても仕方ない、婿のやり方に娘を任せてはならない、と感じられたそうです。

ただ、それはあくまでも霞々個人の感想であり、お母様はどう思われますか?と聞かれました。
実家の両親に相談した結果を当日にと言っておきながら、全然話していない、それでありながら娘のことを一番に考えているのは自分だと発言する婿を信用して、彼のペースで進めていくのは賢明ではないと私も理解しました。

娘とは引き続き毎日電話をしていましたが、その後は徐々に朝も起きられ、日を追うごとに考えられない程元気になって来ておりました。

アロマテラピーが効いているという娘の話は、当時の私にとっては察し難いものでした。
ただ、泊まる時には何があっても絶対に忘れずに持参していた坑うつ剤と睡眠薬を、その後の帰省の際に初めて忘れて来るほどの状態になっていました。

霞々の言われる『論より証拠』というのはこれか…と納得しながらも、驚いていました。

【霞々の想い】

私は困った時にはいつもこう考えるようにしています。
「この状況をどう受け止めたら、今後に良く役立たせられるだろうか?」
「今出来るベストは?」

身内でもなく、離婚相談員、精神科医、弁護士でもない霞々が、当日どのような立場で彼と会うのかは私の中で明白でした。

「たまり ちゃんやご家族から彼女の良い未来の為の舵取りを委託されて来ました。これはビジネスです、どうぞヨロシク!」
そんな簡単な自己紹介から始まったひとときだったと思います。

どなたが一番彼女のことを考えているのか、思いやっているのかは重要なポイントではないとお伝えしたと思います。
感情論ではなくて、とにかく結果の時期ですよとも添えました。

彼女にとって
『溺れている状態とはどういう日々のことか』
『陸に上がるとは、具体的にはどういう状況のことを指すのか』
『彼女の置かれている環境・状況の現状認識を夫と確認、一致させること』
『いつを目安に状況を良くしていくのか』
そのような具体論をせっせとお話させて頂いたように思います。

「夫である自分が一番良く理解している(今後のことも一番良く考えている)のだから~」から始まる夫のフレーズを封印することに意味があると感じていたからです。

夫が妻を理解し、夫自身の気持ちの整理をするのは喜ばしいことですが、問題はそれにより、引き続き長期間、彼女が病んでいるという事実です。

考え続けていることに意味はありますか?
目を見張る喜ばしい大展開が起きますか?
破綻している現状を立て直すのでしょうか?
妻とやり直す気はありますか?

尋問のように責め立てなくても、いくつかのポイントで聞き返せば、おのずと方向性が見えます。

彼の思考パターンに たまり ちゃんを任せて良いのだろうか、彼が心底一番大切にしているのは『妻』ではなくて『浮気相手と自分』でしょう?それならば『妻』のことは任せてもらえませんか?と提案し、夫が承知するかは問題ではなく、方向性を告げて終わりにし、別れたと記憶しています。

たまり ちゃんの笑顔が戻るように努力して下さる方とはたくさんお話をして協力体制を作ってもらう、それ以外の方とはたとえ戸籍上『夫』であれコラボレーションしない、という霞々なりの明確さが当日の時間を作って行ったのだと思います。

良い結果はすぐに出て来ると確信していました。

次回予告

第13話 「三位一体」
離婚・自立への引っ越しの準備、家探し、両家の親同士の話し合いなど、
霞々& たまり &母、の三位一体の動きがスピードを増します。
感情論・現実論・そして法律の世界を交えた大展開のはじまりです。

コメント